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人を自殺させるだけの簡単なお仕事です

1 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:29:03.95 ID:4S5e64sI0
僕の仕事は、主に、部屋の掃除でした

なぜ他人の部屋をわざわざ掃除するのかと言うと
自殺には身辺整理がつきものだからです

きちんと掃除して、遺書を残して死ねば
その人の自殺を疑う人は、まずいません
とにかく綺麗にすること、それが大事なのです

手順は以下の通り定められています

@その人の体をのっとる
A辛そうに振る舞う
B身の回りを綺麗にする(これが一番大変)
C遺書を書く
D死ぬ

2 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:31:11.64 ID:qBMIlllg0
今まで何人くらい?

3 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:31:34.87 ID:4S5e64sI0
そのとき標的となっていたのは
神経質そうな目をした女の子でした
結果的には、これが僕の最後の仕事となりました

それまで僕が自殺させてきたのは
いかにも悪いことをしていそうな人たちで
こんなに若く、無害そうな標的は初めてでした

華奢で色白で、視線は常に下を向いていて、
笑い方がとっても控えめな女の子でした

4 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:33:23.11 ID:4S5e64sI0
>>2
この女の子が七人目となる予定でした

5 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:34:14.68 ID:jwqGr8xe0
>>1
スタンド使いか? 魔法使いか?
その両方か?

6 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:35:24.84 ID:1GEahzBA0
真っ白なシマウマとかけまして
このスレととく
その心は?

7 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:35:47.96 ID:mWd1iqax0
もっと有意義な休日の過ごし方はないのか1よ

8 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:35:58.42 ID:4S5e64sI0
>>5
職業特権です

9 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:38:14.18 ID:4S5e64sI0
それでも標的とされている以上
悪い人間であることに間違いはありません

人の二、三人、平気で殺しているのでしょう

僕は目を閉じて、遠く離れた場所にいる
標的の顔を思い浮かべ、体をのっとりました

八月の、よく晴れた日のことです
最後の仕事が始まりました

10 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:43:16.07 ID:4S5e64sI0
標的は、窓の外を見ていました

場所は高校の教室で、授業中のようです
誰しも黒板とノートを交互に見て
忙しそうに板書を取っています

その中で、標的の女の子だけは、
のんびり外を眺めていたのでした

外は、特に面白いものがあるわけでもありません
バス停、ローソン、薬王堂、ジョイス、
やけに目立つボンカレーの看板、
いかにも田舎っぽい風景が広がっています

11 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:47:23.12 ID:4S5e64sI0
試しに、標的の手を動かしてみました
ペンが妙に大きく感じるのは
この子の手がそれほど小さいということなのでしょう

教師の板書を丁寧に写してみます
すらすら動いて、調子はよさそうです
標的が抵抗してくる様子もありません

ふと教師の顔を見ると、こちらを見て
驚いたような顔をしていました
その意味はもう少し後になってわかります

12 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:50:59.04 ID:4S5e64sI0
標的の女の子の出方をうかがうために
僕はノートに「はじめまして」と書きました

そこで一旦、操作を解きます
標的は自分の手を開いたり閉じたりして
自由になれたことを確認していました

自分が操作されている自覚はあるようです
人によってはそれさえも気づかないのですが

標的は、自分の書いた「はじめまして」を
興味深そうにじっと見つめていました
それ以上の反応はありませんでした

13 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:55:26.54 ID:4S5e64sI0
授業が終わり、昼休みが始まります
再び標的の体を乗っ取ります
ここからが本番です

まずは標的の知人に対して、
標的が辛そうにしている姿を見せる必要があります

ためいきを増やしたり、口数を減らしたり、
いつもと違うことを言わせたり

そうすることで、「自殺の前兆はあった」と
周りが思い込み、自殺にリアリティが出るのです

14 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:56:45.50 ID:hedoyybs0
グラスホッパースレか

15 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 12:58:04.71 ID:4S5e64sI0
僕は教室を見回して、標的の友人を探しました

しかし、話しかけてくる人どころか、
こちらに視線を向ける者さえいません

皆、それぞれに固まって、昼食をとりはじめます
僕は誰かが声をかけてくれるのを待っていました

16 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 13:03:57.55 ID:4S5e64sI0
昼休みの半分まで来ても
標的は取り残されていました

僕はそこでようやく気付きます、
この教室で、この子(標的)が孤立しているのは
とっても自然な状態なのだということに

どうやら標的は、いわゆる「ひとりぼっち」のようでした

17 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 13:05:03.00 ID:Xhbog7YX0
>>14
押し屋早く来てほしいな

18 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 13:09:07.84 ID:4S5e64sI0
困ったことになったと思いましたが、
良く考えてみると、好都合なことでした

周りと接点のない人物というのは
いつ死んでも説得力があるからです

インタビューされた同級生に
「無口な人だった」の一言で片づけられるような
「その他」のカテゴリーに属する人種

19 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 13:13:39.53 ID:4S5e64sI0
しばらく放っておくことにしました
なにせ、することがありません

標的は、理想的な「自殺しそうな人」を、
黙っていても演じてくれるようでした

僕は標的の操作を一時的に解除しました

20 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 13:19:20.98 ID:4S5e64sI0
僕はアパートの一室から標的を操っていました
顔さえ知っていれば、どこからでも操れるのです

目覚ましを合わせ、僕は昼寝を始めました
人を操るには体力がいります

次の仕事は、一番大変な「身辺整理」です
それまでに体調を万全にしておく必要がありました

21 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 13:25:06.51 ID:4S5e64sI0
目を覚まして標的の様子をうかがうと、
ちょうど最後の授業が終わり、標的が、
誰よりも早く教室を出るところでした

部活には入っていないようです
ウォークマンのイヤホンを耳に差し込むと
標的の女の子はまっすぐ家に帰しました

彼女が帰宅し、自室に入ったところで
僕は再び体をのっとりました
標的の目を通して部屋を見渡します

「なんだこれは?」というのが
僕が最初に抱いた感想です

22 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 13:31:22.68 ID:4S5e64sI0
しばらく途方に暮れてしまいました

だって、身辺整理しようにも、
最低限の家具と教科書類以外
その部屋にはなんにもないのです

雑誌も、本も、テレビも、パソコンも、
クッションも、ぬいぐるみも、観葉植物も、
その部屋には、なーんにもないのです

23 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 14:14:57.95 ID:RLk+m6yt0
気になるんで上げ

24 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 14:33:41.13 ID:oqQMTj3q0
こんなところでSS読むくらいなら小説読めよ
捗るぞ

25 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 21:55:54.06 ID:4S5e64sI0
慣れた僕でも、人によっては
五時間くらいかかる身辺整理が、
この子だと、二分で済んでしまいました

唯一のゴミは、酒瓶でした
一番下の引き出しに、いくつか入っていました

僕は嬉々として瓶を袋に詰めましたが、
よくよく考えると、酒瓶に関しては、
置いてあった方が自殺者らしくなるので、
もとあった場所に戻しておきました

26 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 22:01:42.56 ID:4S5e64sI0
唯一、人間性を感じさせるものとして、
棚に無造作に置かれたCDがありました
それを聞くためのプレイヤーと、ヘッドホンも

アレサ・フランクリン、ジャニス・ジョプリン、
ビリー・ホリデイ、ベッシー・スミス
いかにも憂鬱な人間のチョイスでした

これに関しても、部屋に置いてあった方が
自殺者らしくなるので、放っておきました

27 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 22:04:02.98 ID:4S5e64sI0
こんなに楽な仕事は初めてでした
お膳立てされていたといってもいいくらいです

今すぐ自殺させても、何の問題もないくらいでした
下手に僕が手を加えないほうがよさそうです

拍子抜けと言うか、騙されているような気さえしました
とは言え、楽であるに越したことはありません

28 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 22:15:55.96 ID:4S5e64sI0
仕上げに、標的の手で、遺書を書かせます

世界史の教科書の端を破り取って、そこに
「むなしいので死にます」と書きました

多分、この女の子が遺書を書くとしたら、
ごくごくシンプルで、誰のせいにもせず、
それでいて案外切実なことを書くと思ったのです

29 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 22:43:01.15 ID:4S5e64sI0
遺書をポケットに入れて、
家を出ようとしたときでした

標的の女の子が、初めて反抗しました
それも、信じられないほど強い力で、です
危うくコントロール権を奪回されるところでした

「待って」と標的は口を動かしました
無理に動かしたので、唇が切れ、
そこから血が流れだしました

驚く半面、僕は安心してもいました
このままだと、上手く行き過ぎて
逆に気味が悪いと思ったからです

30 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 22:53:10.22 ID:4S5e64sI0
標的の女の子は、こんなことを言いました
「遺書の文面を、少しだけ、弄らせてほしいんです」

31 :名も無き被検体774号+:2012/07/22(日) 23:58:54.14 ID:Y30el+020
おいはよバンバンバン

32 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 00:17:38.19 ID:Ngo8f8dj0
僕は自分で言う代わりに少女に喋らせます
「どういうことだ?」
傍から見ると、女の子の独り言です

少女は答えます
「『面倒なので死にます』に変えさせてくれませんか?」

「どうして?」

「こいつなんか、死んだ方が良かったんだ、
 って思わせたいんです。できることなら」

33 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 00:23:19.80 ID:Ngo8f8dj0
僕はしばらく黙っていましたが、
それくらいはいいか、と思い、
文面を彼女の言う通りに直しました

標的の口が、「ありがとうございます」と
言おうとしたのが分かりました

結局、命乞いは一度もされずに終わりそうです
いったいこいつは何を考えているんだろう?

そこで僕はふと、あることに気付きます

34 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 00:28:38.75 ID:43uhWezdO
伊坂幸太郎が好きなの?

35 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 00:32:27.14 ID:gdZcFfZ/O
読んでるよー

36 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 00:38:11.05 ID:Ngo8f8dj0
>>34
コインロッカーとピエロしかわからない

>>35
せんきゅう

37 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 00:43:15.07 ID:Ngo8f8dj0
ひょっとするとこの女の子は、初めから
自殺する気でいたのではないでしょうか

身辺整理も済んで、遺書の内容も決めて、
ただ、踏ん切りがつかずにいたのではないでしょうか

だとすると、僕のやっていることは
自分では決心をつけられずにいた自殺志願者を
望みどおりに殺してやる、というだけのことになります

38 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 00:54:46.70 ID:Ngo8f8dj0
そういうのは、僕の望むところではありませんでした
死にたがっている人を殺すのはつまらないことです

殺す前に少し、この女の子をいじめてやろう
そう僕は思ったのでした

標的の体をのっとり、遺書とは別の書き置きを用意し、
それを居間のテーブルに置いて、僕は家を出ました

女の子には、これから一晩中歩いてもらうことにします

39 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 01:29:50.83 ID:1o5Tai2d0
支援

40 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 04:37:21.27 ID:Oc7q/Bk00
shien

41 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 05:58:30.91 ID:AnKD86zS0
まだ〜?

42 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 06:44:13.56 ID:GDsYUNS2O
面白そうだ

支援

43 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 09:55:14.28 ID:vYora2ZFO
あげます

44 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 11:25:57.29 ID:cQ1uLV9D0
わたしが>>53です

45 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 12:03:44.02 ID:KiXo1HZk0
支援

46 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 12:35:35.16 ID:Ngo8f8dj0
そこは非常に坂の多い街です
階段や段差がそこら中にあり
自転車に乗る人はめったにいません

傾斜が20%をこえるところも多くあり
また、狭く曲がりくねった道が多いところです

その中を、転べば折れそうなほど華奢な足で、
どこまでもどこまでも歩いてもらいます

47 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 12:49:05.04 ID:Ngo8f8dj0
キリギリスやコオロギの鳴き声が響いていました
ひどく蒸し暑い夜でした
たちまち女の子は汗だくになります

靴のせいもあり、三時間ほど歩いた辺りからは、
脚全体がひどく痛むようになります

特に土踏まずとふくらはぎには激痛が走り
一歩一歩に苦痛を感じるようになってきます
顔を上げることもままならない状態です

48 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 13:19:22.22 ID:Ngo8f8dj0
どうしようもなく喉が渇いたときには
自販機の前でコントロール権を渡してやります
小銭だけは持たせてきたのでした

ポイントは、彼女が自分の意志で
飲み物を買って飲むということです

それでも疲労はどんどん溜まり
痛みはどんどん増してゆき
お腹はどんどん空いていきます

49 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 13:27:07.54 ID:Ngo8f8dj0
八時間ほど歩いたところで
標的はようやく目的地につきました

そこは、街を一望できる展望台です
螺旋階段をのぼりきったところで
僕は標的の女の子の操作を解除します

体力の限界を超えて動かされていた彼女は
途端にその場に崩れ落ちますが
彼女の体は、あらかじめ準備しておいた
椅子の上にちょうどおさまります

テーブルをはさんで、向かい側に僕が座っています

50 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 13:29:08.23 ID:p7ei3F1OO
今度お願いします

51 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 13:37:07.69 ID:Ngo8f8dj0
たかだか数百円のカップラーメンを
汁も残さず食べきった卑しい標的は、
自分が死にたがっていたことも忘れて
手摺に肘を乗せて、街を見下ろして
「きれいー」とはしゃいでします

物を考える力がなくなっているらしく
普段のように表情に抑制がありません

向きを変えようとして、足を絡ませて、
おもいっきり笑顔で転んでいます

52 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 13:48:27.84 ID:Ngo8f8dj0
「ところで、私のこと、殺さないんですか?」
標的は振り返って僕にたずねます

僕は説明しようとしますが、上手く言葉が出てきません
僕自身も物を考える力がなくなっていました

標的は八時間歩いて疲弊しきっているわけですが
こちらとしても、八時間標的を歩かせ続けるのは
自分で歩くのと同じか、それ以上に疲れるものなのです

53 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 13:58:30.99 ID:Ngo8f8dj0
面倒なので、いったん標的を家に帰すことにしました
今日のところは、飲み食いする喜びを
身体に叩き込むだけで勘弁してやろう、というわけです

僕が手招きすると、標的は黙ってついてきました
よく分かりませんが、従順で扱いやすい子です
どうせ操られるだろう、という諦めでしょうか

僕たちはふらつきながら螺旋階段を下りました
車のドアを開けて、運転席に乗り込むと
突然、猛烈な眠気に襲われました

54 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 14:07:05.41 ID:WzvDgOyc0
1さんみたいな職業があったのなら
自殺は無くなるんじゃないかな?
だって、死ぬこと以上に生きることの
大切さ、素晴らしさがわかるじゃないか!

55 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 14:11:23.44 ID:Ngo8f8dj0
標的が車の前で困ったような顔をしているので
助手席を開けて「乗れ」と言います
標的は「失礼します」と言って乗り込んできます

とても眠気に耐えきれそうもないので
十分ほど寝てから出発しようと決め
携帯の目覚ましをセットしている最中に
僕は眠りに落ちてしまいました

56 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 15:43:46.39 ID:IOBNnzDB0
見てるよー

57 : 忍法帖【Lv=21,xxxPT】 :2012/07/23(月) 16:27:59.79 ID:+DR2iYuWO
おもしろい
見てるよ

ショッカーの人?

58 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 17:31:25.52 ID:gdZcFfZ/O
っC

59 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 17:55:48.51 ID:Zmc/dUGx0
擬人化してるのかと思ったけど違うな

60 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 18:17:56.90 ID:RzkYatCC0
引きこまれた

61 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 20:00:20.42 ID:AVmNC1ft0


62 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 23:25:25.31 ID:vYora2ZFO


63 :名も無き被検体774号+:2012/07/23(月) 23:52:36.64 ID:gdZcFfZ/O
>>1さん戻ってきてくれないかな〜

64 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:00:26.11 ID:Ngo8f8dj0
暑くて目が覚めました
車内には容赦なく朝の光が差し込んでいます

左に目をやると、女の子が眠っていました
僕はドアを開けて外に出て
展望台の下にある水道で顔を洗いました

体もずいぶん汗でベタついていたので
車に戻ってタオルを取りに行くと
ちょうど標的が目を覚ましたところでした
眠そうな目でこちらを見ていました

65 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:10:39.12 ID:UAFggopkO
>>1さんキター(^∀^)

66 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:14:32.34 ID:dXNG+K4x0
二人で並んで体の汗を濡れタオルで拭きとりながら
さてどこから説明したものか、と考えました

乾いた風がひんやりと心地よいです
標的は靴下まで脱いで足を洗っています

普通なら標的の方から何か聞いてきそうな物ですが
この女の子はさっきから、何一つ訊ねてこないのです

参ったな、と考えているその時でした

「綺麗になったことだし、どうぞ」

突然、標的はそう言うと、”気をつけ”の姿勢をとり、
僕の顔をまっすぐ見据えました

67 : :2012/07/24(火) 00:22:40.35 ID:tfvlPfWc0
これ本当の話⁇

68 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:23:43.83 ID:y8jeKPAfO
うむうむ

69 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:27:38.04 ID:dXNG+K4x0
標的は両腕を広げて掌をこちらに向け、言いました
「落とすなり、吊るすなり、好きにしてください」

前髪から水滴がぽたぽた落ちて
濡れた手足がきらきら光っています

やっぱり気に入らないな、と僕は思います
「そのうち殺すさ、とてもひどいやり方で」

「とてもひどいやり方ですか」
標的は間抜け面で繰り返します

「ああ。だから、まず車に乗れ」

標的は靴を履き、車の方へ歩いて行きます

70 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:39:27.04 ID:dXNG+K4x0
しっかりした朝食をとらせると
僕は標的を高校まで送り届けました

少しでも教室への滞在時間を減らしたくて
遅刻寸前に学校に来る主義の標的としては
むしろいつもより早く登校したことになります

車を降りると、標的はこちらを振り返り、
小さく頭を下げ、歩いて行きました
呑気なものです

71 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:48:50.28 ID:dXNG+K4x0
こちらも一限の講義があるのですが
その前にひとつ、やっておくことがあります

目を閉じて、標的の顔を思い浮かべます
彼女はちょうど教室に入るところでした

標的は、なるべく目立たぬように、
静かにドアを開けて中に入ります

それでもドアの近くにいた連中は、
誰が来たのかを確認しようと目を向けます

そのとき、標的の表情がぱっと明るくなり、
口からは「おはよう」と朝の挨拶が出てきます
もちろん僕の仕業です

72 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:58:30.92 ID:dXNG+K4x0
周りの連中は誰も挨拶には応えません
それは勿論、誰も、彼女が挨拶してくるなどとは
想像さえしていないからです
聞き間違えだろう、くらいにしか思っていません

標的の顔が真っ赤に染まります
恥ずかしくて仕方がないのでしょう
死ぬのは平気でも、挨拶を無視されるのは嫌なのです

73 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 00:58:55.84 ID:uhmYAR3P0
大学生なのかよwww
俺にもその仕事できるかな?

74 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 01:01:25.28 ID:cC0GceiJ0
これは期待

75 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 01:13:08.03 ID:dXNG+K4x0
ですがその後も、標的が廊下で
クラスメイトと擦れ違うたびに
僕は標的に感じ良く頭を下げさせました

標的はノートに「かんべんしてください」と
書いて僕に見せようとしていましたが
僕は何の反応もしてやりませんでした

76 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 01:20:59.42 ID:dXNG+K4x0
昼休みになると、標的はカロリーメイトを口に放り込み
イヤホンを耳にさして勉強を始めようとしたので
僕は体をのっとってイヤホンを引っこ抜きました

イヤホンなんてつけていたら、初めから周りとの
コミュニケーションを諦めている人みたいに見えるからです

標的はノートに「よけいなお世話です」と書きました

僕は標的の手を借りて、その文に取り消し線を引きます
そしてのその下に、「いやがらせ」と書いておきました

それを見た標的は、「ひどい」とだけ書き込みます

77 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 01:33:45.95 ID:dXNG+K4x0
授業がすべて終わると、標的は誰よりも早く教室を出ます
いつもはさり気なく一番目に帰宅する標的ですが、
この日はなりふり構わず急いで出て行きます

これ以上僕に何かされたら敵わないと思ったのでしょう
しかし、帰宅後、彼女に更なる悲劇が訪れます
もちろん実行犯は僕なのですが

標的の体をのっとった僕は、再び身辺整理を始めました

78 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 01:41:56.58 ID:dXNG+K4x0
一番下の引き出しにしまわれた、
カティサーク、ジョニーウォーカー赤、
エンシェントクランといったウィスキー

どこで手に入れたかは知りませんが
おそらく彼女の一番のお友達であるそれらを
僕はすべて洗面台に開けて流してしまいます

標的の口が「やめっ、もったいない」と動こうとします
今までで一番必死な反応だったかもしれません
ですが、知ったことではありません

79 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 01:51:48.67 ID:dXNG+K4x0
さて、彼女のスケジュールによれば、
ベッドに横になって音楽を聴きはじめる頃合でしたが、
僕は酒瓶をビニール袋に入れて引き出しに戻すと、
そのまま彼女を家の外に出しました

ただし、今回は八時間ぶっ通しで歩かせたりはしません
十分ほど歩いたところで、目的地の公園に着きます

二台あるブランコの片方に、彼女を座らせます
当然、もう一台のブランコには、僕が座っていました

80 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 02:01:24.80 ID:dXNG+K4x0
辺りは薄暗く、日暮が近くで鳴いています
僕は両手に抱えていた植木鉢を標的に渡します
標的は「なんですかこれ」と聞いてきます

「アグラオネマニティドゥムカーティシー」と僕は答えます

「いえ、品種のことじゃなくて。なんですかこれ」

「部屋が殺風景すぎるからな。観葉植物だ」

「……これも、いやがらせなんですか?」

「プレゼントに見えるか?」

81 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 02:14:45.36 ID:dXNG+K4x0
標的は植木鉢を掲げて、眺めます
「見えなくもないですね、綺麗ですし」

「そういうところが、気にくわないんだ」
ブランコから下りて、僕は標的の前に立ちます

標的は植木鉢を膝の上に抱えたまま
少し緊張した表情で僕の顔を見ます

しばらくその状態が続くと
ふいに標的は植木鉢を足元にやさしく置いて
「殺しますか?」と言ってブランコをこぎはじめました

82 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 02:27:02.63 ID:dXNG+K4x0
僕はあらためて聞いてみます
「結局お前は、殺されたがってるのか?」

「んー、殺した方がいいですよ」と標的は答えます
「初めてでもないんでしょう? 私で何人目ですか?」

僕はしばらくこう考えてから、こう言います
「どこまで知ってるんだ?」

標的はブランコをとめ、植木鉢に目をやり、
僕と目は合わせずに、こう言いました

「知ってるも何も、今あなたがしてるのは、
 むかし私がしてたこと、そのままなんですよ」

83 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 04:31:55.55 ID:cC0GceiJ0
みてるぞ

84 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 04:37:49.23 ID:y8jeKPAfO
wktk

85 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 05:00:48.90 ID:FfGmBBKQ0
明日帰宅するのが4時なので。
明日の4時まで保守してほしい。

86 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 07:37:45.67 ID:+LAtZHRNO
アグラオネマニティドゥムカーティシー
よし覚えた

87 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 08:58:45.64 ID:UAFggopkO
アグラオネマニt・・・覚えられない



ほしゅ

88 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 09:08:57.18 ID:KvBgHjZb0
ほしゅ

89 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 09:17:00.29 ID:IHlEujzvP


90 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 09:58:09.71 ID:dXNG+K4x0
「八人、自殺させました。標的は十九歳から七十二歳まで。
 男が六人、女が二人。四人は飛び降りで処理しました。
 ロープが三人で、あとの一人はカミソリです」

「あなたもそうだと思うんですが、ある日突然、
 人の体をのっとれるようになって、同時に、
 自分が何をしなければならないのかが分かりました」

「最初の一人の他は、上手いことやれたと思います。
 この仕事の良いところは、一人自殺させるたびに、
 自分も死んで、生まれ変わったような気分になれることでした」

91 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 10:12:55.58 ID:dXNG+K4x0
「あなたは、どうして自分がその能力を
 持つようになったのか、分かりますか?」

僕は首をふりました

「これはあくまで私の予想に過ぎませんが、
 あなたにバトンが受け継がれたのは、
 おそらく、私が人を殺すのをやめたせいです。

 九人目で、私はありがちなミスを犯しました。
 同情してしまったんです、標的に対して」

92 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 10:27:32.93 ID:dXNG+K4x0
「とたんに私の能力は失われました。
 その後で、私が逃した標的は、自殺しました
 たぶん、私の代わりに、後任が現れたんでしょうね。
 私はもう使えないって判断されたんでしょう」

標的が顔を上げて聞いてきます
「あなたが初めて殺したのって、二十代の女性でしょう?
 茶髪でセミロング、背は高め、指が綺麗な女の人」

僕が黙っているのを、標的は肯定と受け取ったようでした

93 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 10:43:22.27 ID:dXNG+K4x0
「あの人のこと、私、殺せなかったんですよ。
 だって、あの人、笑っちゃいますよね、ああ見えて、
 写真とお喋りするのが一番の娯楽なんですよ。

 理由はわからないけど、そういうのって、
 すごくげんなりさせられるじゃないですか」

「あの人を見逃してからしばらくして、
 私は人の体をのっとる力を失いました。
 更にしばらくして、今度は、体をのっとられたんです」

標的は僕を指差して言います、「あなたに」

94 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 12:04:26.17 ID:6qxjobnx0
なんかこんな話の小説読んだことがあるんだが
タイトルが思い出せん

それとも、それも気のせいで、ただの既視感?

95 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 12:13:23.67 ID:UA+CqfM50
続きが気になる

96 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 12:22:15.78 ID:qyghw4dXO
おもし

97 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 12:27:44.04 ID:3lKQNl8q0
小説苦手やけど読んでしまう

98 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 12:49:33.42 ID:GytETHSR0
ほしゅ

99 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 13:17:45.86 ID:U02o2THHO
今北支援

100 :名も無き被検体774号+:2012/07/24(火) 13:34:01.76 ID:nqS2gb950
これひょっとしてすごくね

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